普段の生活でも耳にする事の多い「目に余る」という表現ですが、その正しい意味はご存じでしょうか?
また、実は「目に余る」には二つの意味があることは知っていましたか?
それぞれの意味をしっかり把握しておかないと、思わぬ誤用を招く可能性もあります。
ということで今回は、例文・類語なども参考にしつつ、「目に余る」の意味をしっかり理解できるよう、分かりやすく解説致します!
目に余るの意味
それでは早速、「目に余る」の意味を見ていきましょう。
冒頭でも触れたように、「目に余る」の意味は、大きく分けて二つあります。
一つ目の意味は、「程度がひどすぎて、見過ごすことができない」という意味です。
これは別の言い方で言えば、「あまりのひどさに黙っていられない」や「とてもじゃないが見逃すことはできない」とも言い換えられますね。
イメージ的には、「文句のひとつでも言わないと気がすまない」と、拳を強く握りプルプルと震えている感じでしょうか。
したがって、「目に余る」という表現を使う時の心情としては、「怒り」「否定」「不満」などがあることが多いです。
もっとフランク言えば、「あのヤロー、ぜってぇ許さねぇー」とはらわたが煮えくり返っている状態に近いです(笑)
あるいは、そこまではいかなくとも、自分の中の価値観に違反する状況を目にした際使う言葉なので、少なくとも肯定的な感情は持っていません。
分かりやすく言えば、自分が大事にしているルールを破った相手に対して、ネガティブな感情を抱いているということになります。
つまり、基本的に私たちは余計な問題事に首を突っ込みたくないものですが、それにも関わらず、その様子に対し我慢ができずに、どうしても物申せずにはいられない事に対して「目に余る」という表現は使えるということですね。
ただし、「目に余る」からといって、実際に注意したり何かしら行動を起こすかは別問題になります。
要は、「目に余る」状況に直面したものの、結局は何も対処しない場合もあるということですね。
なので、「目に余る」相手に対して、陰口を言うだけで終わる可能もあるということです(笑)
さて、それでは続いて、「目に余る」の二つ目の意味を見てみましょう。
「目に余る」の二つ目の意味とは、「数が多くて、一目で見渡すことができない」という意味になります。
これは単純に、非常に数が多いことを示す際に用いられるパターンですね。
分かりやすく言えば、パッと見でその全貌が把握できない状況で使う事ができます。
こちらの意味合いで使う際は、一つ目の意味とは違い、特に特定の感情が紐づくことは無く、ただ単に数の多さを表すだけの表現になります。
言い換えれば、「あまりの数の多さに、正確に認識することがすぐにはできない」とも言えるということですね。
いずれにしろ、一つや二つではなく、簡単には数えきれない数の多さを指して「目に余る」という表現を使えるということになります。
さて、それでは改めて「目に余る」の二つの意味を整理しましょう。
意味1.「程度がひどすぎて、見過ごすことができない」
意味2.「数が多くて、一目で見渡すことができない」
こうして整理すると、似ているようで似ていない意味ですね(笑)
そういった意味では、二つの意味を混同してしまいそうですが、実際にはあまり心配する必要はありません。
なぜなら、どちらの意味で使っているかは、前後の文脈から容易に区別できるケースがほとんどだからです。
これは、後程紹介する例文を見て頂ければ一目瞭然なので、ご安心ください。
また、意味を混同しなくて済む大きな理由がもう一つあります。
それは、そもそもの話になりますが、実は「目に余る」という表現は、一つ目の意味で使うケースが圧倒的に多いからです。
皆さんも、実際に日常で耳にする際は、ほとんどの場合で「程度がひどくて見過ごせない」という意味で使われているはずです。
したがって、「数が多く一目で見渡せない」という意味は、頭に入れておくだけで十分であり、自分からはあまり積極的に使わない方がいいと思います。
逆に言えば、自分でこの表現を使う際は「程度がひどくて見過ごせない」という意味で使う事ができれば大丈夫ということですね。
なので、これからは日常の中で積極的に「目に余る」ようなイラつく人を探しましょう!←冗談です(笑)
さて、ここまでで概ね「目に余る」の意味は把握できたと思いますが、言葉をよりしっかりと定着させる為にはその語源を理解することがとても大切です。
ということで、続いて「目に余る」の語源を把握し、正しい意味を完全にマスターしてしまいましょう!
目に余るの語源
さて、「目に余る」とは、どのような語源が元になっているのでしょうか?
結論から言うと、「目に余る」は「目」と「余る」に分けて、それぞれの意味を紐解くと、その意味合いがより理解できます。
まず、前半の「目」ですが、これはそのまま視覚器官である「目」そのもの指します。
そして、後半の「余る」ですが、実はこの表現は、かなり多くの意味を持ちます。
大まかにまとめると、下記のような意味があるんです。
- 1.多すぎて残りが出る
2.程度や力などが、ある程度以上にはなはだしくなる
3.数量などがある基準を超える
4.割り算で、割り切れないで残りが出る
5.いっぱいになってあふれる
さて、ご覧いただければ分かる様に、「目に余る」に当てはまる意味としては、2と3が当てはまりそうですね。
つまり、「程度がひどく見過ごせない」という一つ目の意味では、2.「程度や力などが、ある程度以上にはなはだしくなる」という意味合いで「余る」という表現が使われます。
一方で、二つ目の意味である「数が多く一目で見渡せない」という意味合いにおける「余る」は、3.「数量などがある基準を超える」の意味で使われているということですね。
なお、「程度がひどく見過ごせない」という意味では、物理的に目に収まりきらないというよりは、精神的に我慢の範囲に収まらないというニュアンスになりますね。
一方で、「数が多く一目で見渡せない」という意味は、「視界に収まり切らずに余る」というそのままの意味で捉えることができるので、問題ないでしょう。
要するに、「目に余る」はいずれの意味においても、「自分の許容値からはみ出てしまうほど多い」という意味で大まかに捉えると良いと思います。
分かりやすく言えば、それが「気持ち的なキャパオーバー」なのか、「視覚的なキャパオーバー」なのかの違いしかない、ということですね。
したがって、下記のように整理すると理解しやすいでしょう。
意味1.程度がひどく見過ごせない=気持ち的なキャパオーバー
意味2.数が多く一目で見渡せない=視覚的なキャパオーバー
なお、そういった意味では、例えば『目に余るほどの多くのポイ捨ては目に余る』といったように、両方の意味を使った表現もできることになりますが、どう見ても分かりにくいので、やめておきましょうね(笑)
ということで、「目に余る」の語源を把握し、二つの意味が完全に理解できたところで、続いてはこの表現がどういった時に使われるのか、例文を見ることで言葉の使い方をマスターさせましょう!
皆さんは、どのような例文が思いつくでしょうか?
目に余るの例文
「目に余る」という表現は、下記の例文のような形で使う事ができます。
- 例文1.信号無視などのマナー違反は「目に余る」ものがある。
- 例文2.試合中の彼女の自己中心的なプレーには「目に余る」思いだ。
- 例文3.ふてぶてしい態度で好き放題する彼には、流石に「目に余る」。
- 例文4.周囲の迷惑を考えず、電車内で大声で話す団体は「目に余ってしまう」。
- 例文5.アフリカのサバンナに旅行した際に、「目に余る」ほどの動物の群れを見た。
- 例文6.ライブ会場のステージ上から客席を見ると、「目に余る」人数が集まっていた。
慣用句には、ポジティブ又はネガティブのどちらか一方の意味で使うものと、どちらの意味でも使用できるものがあります。
そんな中、先ほども述べたように、例文1~4のように「程度がひどく見過ごせない」という意味で使う際は、基本的にネガティブな意味合いで使われます。
一方で、例文5・6のように「数が多く一目で見渡せない」という意味で用いる際は、特に特定の感情を含むことはありません。
また、それぞれの意味の使い分けも、上述したように例文を実際に見れば、どちらの意味で使われているかは一目瞭然ですよね。
なおかつ、私たちが日常で「目に余る」という言葉に出会う際は、例文とは違い、それ以前の会話を通してもっと多くの背景が共有されているので、尚更どちらの意味で使われているかは分かりやすいでしょう。
さて、例文を見たことで具体的な使い方が分かったところで、続いては実際の会話例を通して、自分自身で「目に余る」という言葉を使うイメージを養ってみましょう!
皆さんも、下記の会話例のヒツジさんになりきり、〇〇の部分に入る言葉を考えてみてくださいね。
目に余るの会話例
ルームシェアをしているパンダさんとヒツジさんの、日常におけるワンシーンです。
パンダさん!君の最近の生活態度は、さすがに「目に余る」よ!
どうしたの急に怒って。ボクはバイトも休みでせっかくくつろいでるのに~。
前から言ってるように、二人の家なんだから、決めたルールは守ってよ!
え~?僕は最低限のマナーは守ってるつもりだけどな~…
よくそんなこと言えるね!脱いだ洋服はそのまま!食べた食器は片づけない!〇〇!
ああ、そういう事ね~。ごめんごめん。全部このマンガ読み終わったらやるよ~。
そう言っていつも口だけだから、こんなに散らかり放題なんだよ!
いかがでしょうか?どんな言葉が入りましたか?
この〇〇に入る言葉は、『脱いだ靴はバラバラ』『ゴミはほったらかし』などですかね(笑)
夫婦間やカップルの同棲でも、同じようなことで喧嘩になった経験がある方も、多いのではないでしょうか(笑)
さて、パンダさん達のやり取りを見て、「目に余る」という表現を実際に使うイメージがついたところで、続いてはその類語を知ることで、この言葉の輪郭をより鮮明にしていきましょう!
皆さんは、どんな類語が思いつくでしょうか?
目に余るの類語
「目に余る」には、下記のような類語が存在します。
- 1.「見るに堪えない」
「ひどくて見ていられない」あるいは「見ていられない程ひどい」という意味の類語です。
【例文】彼の醜態は「見るに堪えない」。 - 2.「筆舌に尽くしがたい」
「言葉で表現できないほど程度が甚だしいこと」という意味を持つ類語になります。
【例文】思わぬ災難に合い「筆舌に尽くしがたい」思いだ。
なお、上記以外の類語表現としては、「度が過ぎる」なども挙げられるでしょう。
また、「目に余る」の対義語としては、「驚いたり感心したりして目を見開く」という意味を持つ「目を見張る」や、「心を奪われるほどうっとりする様子」を意味する「ほれぼれする」といった、賞賛のあまり見とれてしまうようなフレーズが当てはまるでしょう。
ちなみに余談ですが、「目に余る」の対義語として、「目に余らない」という表現は誤用になるので、ご注意ください←言われなくても分かりますね(笑)
さて、ここまできたら「目に余る」の完全制覇までもう一歩です!
極めつけとして「目に余る」の「英語訳」も知る事で、この表現のキャラを完璧に掴んでしまいましょう!
皆さんも、自分が知っている英語で思い付く表現がありませんか?
目に余るの英語訳
英語で「目に余る」を表現するとしたら、下記のような例が適切でしょう。
1. 「too much to tolerate」
「目に余る」の意味を忠実に英訳した表現で、「ひどすぎて容認できない」という意味です。2.「cannot be overlooked」
直訳すると「見過ごせない」という意味の、形式ばった「目に余る」の英訳になります。3.「flagrantly」
「甚だしく」「目に余る」という意味を持つ副詞ですね。
上記のような英語表現は、普段英語を使う機会がない方にとっては、懐かしかったのではないでしょうか?
それでは最後に「まとめ」でおさらいをし、この慣用句を完全にマスターしましょう!
なお、まとめの最後には、皆さんの役に立つちょっとしたオトク情報もプレゼントしてますよ♪
まとめ
いかがでしたか?「目に余る」の意味はしっかり理解できたでしょうか?
最後に、ここまでの内容を簡単にまとめましょう。
【目に余る】 | |
意味 | (1)程度がひどく見過ごせない |
(2)数が多く一目で見渡せない | |
感情 | (1)怒り、否定、不満 |
語源 | 余る=キャパオーバー |
類語 | (1)見るに堪えない |
さて、ここまでご覧いただければ分かる様に、怒りを覚えるほど「目に余る」状況には、できるだけ遭遇したくないものです。
しかし、日常の中でどうしても怒りが込み上げてくることは、誰しもありますよね。
とはいえ、怒りという感情は厄介なものである事は変わりないので、できたら上手に付き合っていきたいものです。
ということで、この記事の最後に、皆さんが上手に「怒り」をコントロールできる一冊を紹介させていただきます!
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