出会う頻度は比較的低い「取らぬ狸の皮算用」という表現ですが、その正しい意味はご存知でしょうか?
実はこのことわざ、二つの異なるニュアンスで使えるため、しっかり理解しないと誤用してしまう可能性の高い言葉なんです。
ということで今回は、例文・類語なども参考にしつつ、「取らぬ狸の皮算用」の意味を詳しく&分かりやすく解説致します!
取らぬ狸の皮算用の意味
それでは早速、「取らぬ狸の皮算用」の意味を見ていきましょう。
「取らぬ狸の皮算用」の意味とは、「手に入るかどうか分からないものを当てにして、計画を立てること」という意味になります。
これは言い換えれば、「物事が実現する前から、あれこれと期待し当てにすること」とも言えます。
イメージ的には、頭の中での妄想ばかりが膨らんで、目の前の物事を都合よく捉えてしまう感じですね(笑)
したがって、「取らぬ狸の皮算用」という表現は、逆にその物事が実現する可能性が高い場合には使用しません。
つまり、このことわざはあくまで、実現する可能性が低い事・再現性がなさそう事に対してのみ用いることができます。
なお、どの程度の実現性の低さにおいてこの表現が使えるのかは、後ほど紹介する例文を見ていただくのが一番分かりやすいと思います。
いずれにしろ、その様な理由から、このことわざを使うシーンとしては不確実な期待を頼りにしていることを指摘する際に用いることが多いです。
要するに、想像ばかり膨らんで現実を冷静に把握できていないことへの注意喚起ということになります。
これは言い換えれば、現実離れした計画を当てにすることへの戒めのことわざということですね。
また、そのような状況で使う一方で、不確定要素を期待し結果的に失敗したことを馬鹿にしたりからかったりする目的で「取らぬ狸の皮算用」を使用することもあります。
その際の心情的としては、軽蔑したり見下したりおちょくっている感じでしょうか。
つまり、「取らぬ狸の皮算用」という表現は、「不確実な計画を当てにすること」を、「注意する or 批判する」の二つのニュアンスで使われるということです。
- ニュアンス①:無茶な計画を当てに「しないように注意する」
- ニュアンス②:無茶な計画を当てに「したことを批判する」
ちなみに、当てにする物事に特に決まりはありませんが、多くの場合は数字にまつわるもの、とりわけ予定外の収入や不確実な利益などといった金銭的な期待をしている状況で使われることがほとんどです。
なお、その理由は、このことわざの語源を知る事でより深く理解できるので、こちらも後ほど詳しく説明させていただきますね。
いずれにしろ、何かを成し遂げる前に、成功した前提で算段をつけてしまい、結果的に何も果たせなかった様子を示し、「取らぬ狸の皮算用」と言うということです。
ちなみに、「取らぬ」という漢字を「捕らぬ・獲らぬ」と表現する場合もありますが、基本的には前者を使うので、自分自身で書くときは「取らぬ」を選ぶと無難でしょう。
さて、ということで、ここまでで「取らぬ狸の皮算用」の意味がおおむね理解できた後は、この言葉を完全にマスターするために、続いてその語源を見てみましょう!
むしろこの表現は、その語源を把握することで意味の理解がより一層進み、結果として記憶の定着にも非常に役に立つという側面もある言葉なんです。
取らぬ狸の皮算用の語源
さて、「取らぬ狸の皮算用」ということわざには、どのような由来があるのでしょうか?
結論から言うと、このことわざの語源は、読んで字のごとく「まだ捕まえてもいない狸の皮を売ることを考えている」という状況が由来となっています。
その理由は、言葉の意味をひとつずつ紐解いていくと分かりやすいので、説明しますね。
まず、「取らぬ」とはそのまま「捕えていない」という事です。
そして、「皮算用」というのは「計算すること」を意味する「算用」と、狸の「皮」を合わせた造語になります。
つまり、狸を狩る猟師が、捕えていない狸の毛皮を売って、何を買おうかと計画をしている様子を例えているということですね。
したがって、このような背景から、先ほどの意味の説明の際にも触れたように、このことわざは計画上の収益・収入を指す状況で多く使われるのです。
しかし、そもそも何故、数ある動物から狸が選ばれたのでしょうか?
その答えは、実は狸という動物のとある二つの特徴が関係しています。
皆さんもどこかで聞いたことがあると思いますが、昔の日本では狸の毛皮が防寒具として利用されていました。
しかし、その毛皮は実際に山などに狸を狩りに行って採取しており、狸自体は非常に身近な存在でありながらも、狩りに成功する可能性は決して高くなかったので、その毛皮はいわゆる高級品として売買されていたのです。
つまり、狸狩りの難易度が高くその毛皮は高値で売れることが、「不確実な収入を期待する」という比喩として使われる由来になったということです。
そう考えると、当時の猟師にとっての狸とは、現代の我々にとっての「ドリームジャンボ」に当たるような存在だったのかもしれません(笑)
また、そのような背景があると同時に、「取らぬ狸の皮算用」ということわざに狸という動物が使われているのには、もう1つ別の理由があると言われています。
それは、 「狸は人を化かすから」という理由です。
皆さんも、おとぎ話などで狸が葉っぱを頭の上に置いて、様々な物や人に変身して人間を驚かす描写を一度は見たことありますよね。
このように描かれる事からも分かりますが、狸は昔から何かに化けて人を騙す動物だと言われてきました。
つまり、「まだ手に入れていない狸の毛皮を売ろうとする様子」が、狸が化けて人から食料を奪う様子に似ている、というのも狸がこのことわざに使われた理由なのです。
したがって、「取らぬ狸の皮算用」の語源には、「狩猟が難しい狸の毛皮が高価だったこと」と「狸は変身して人を化かす動物である」という二点が、深く関わっていたということになりますね。
ちなみに、現在でも狸の毛は「ラクーンファー」としてコートの裏地などの素材として使用されおり、楽天市場ではラクーンファーを使用したコートが30,000円程度で売られているので、興味がある方は是非買ってみてください(笑)
さて、ということで、「取らぬ狸の皮算用」の語源を把握し意味が完全に定着できたところで、続いてはこの表現がどういった時に使われるのか、例文を見ることで言葉の使い方をマスターさせましょう!
皆さんは、どのような例文が思いつくでしょうか?
取らぬ狸の皮算用の例文
「取らぬ狸の皮算用」という表現は、下記の例文のような形で使う事ができます。
- 例文1.宝くじが当たったことばかり考えて「取らぬ狸の皮算用」をしても意味がない。
- 例文2.楽観的すぎる予測に基づいた「取らぬ狸の皮算用」では出資する事はできません。
- 例文3.君の提案プランは、論理的な根拠にかけている「取らぬ狸の皮算用」でしかない。
- 例文4.「取らぬ狸の皮算用」で現実を直視しない社長が経営する会社の先行きが心配だ。
- 例文5.自分の都合の良いことだけ考えて「取らぬ狸の皮算用」に陥らない方がいいですよ。
- 例文6.期待していた賞与が無くなり「取らぬ狸の皮算用」とならないよう注意した方が良い。
ことわざには、ポジティブ・ネガティブどちらかのみの意味合いで使えるものと、両方の意味合いで使えるものがあります。
そんな中、例文をご覧いただければ分かるように、「取らぬ狸の皮算用」という表現は、基本的にネガティブなニュアンスで使われることわざです。
「取らぬ狸の皮算用」とは、不都合な現実から目を背けたり、根拠のない楽観視に逃げいている状況とも言えるので、当然と言えば当然ですね。
なお、このことわざを使う具体的な状況としては、例文のように失敗しないようアドバイスするシーンや失敗したことを非難するようなシーンが多いです。
ちなみに余談ですが、もし自分でこのことわざを使うなら、出来れば相手にアドバイスする側で使いたいものですね(笑)
さて、ということで、例文を見て具体的な使い方が分かったところで、続いては実際の会話例を通して、自分自身で「取らぬ狸の皮算用」という言葉を使うイメージを養ってみましょう!
皆さんも、下記の会話例のヒツジさんになりきり、〇〇の部分に入る言葉を考えてみてくださいね。
取らぬ狸の皮算用の会話例
大学同期のパンダさんとヒツジさんが、飲み屋で話をしています。
パン子ちゃんと結婚するために貯金したいのに、何でお金が貯まらないんだろう?
そりゃ、パンダさんが「取らぬ狸の皮算用」のごとく生活してるからじゃないの。
え~?ボクは働く事はせずに、一等が当たった売場で宝くじ買ったり、先祖の隠れた遺産を探してるだけなんだけどな。
それが駄目なの!本当に貯めたいなら、〇〇するなりして堅実な方法をとりなよ!
いかがでしょうか?〇〇にはどんな言葉が入りましたか?
この〇〇に入る言葉は、『定期預金』『正社員勤務』などですかね(笑)
ただ、現実に支障が出なければ、メンタルヘルスとして宝くじなどで一攫千金の夢見るのも、たまには良いですよね?(笑)
さて、パンダさん達のやり取りを見て、「取らぬ狸の皮算用」という表現を実際に使うイメージがついたところで、続いてはその類語を知ることで、この言葉の輪郭をより鮮明にしていきましょう!
皆さんも、パッと思いつく類語がありませんか?
取らぬ狸の皮算用の類語
「取らぬ狸の皮算用」には、下記のような類語が存在します。
- 1.儲けぬ前の胸(むな)算用:不確かな事柄に期待して計画を立てること
- 2.海も見えぬに船(ふな)用意:物事を早まってすること
- 3.沖な物あて:まだ手に入っていないものを当てにすること
- 4.飛ぶ鳥の献立:手に入れる前にその使い道を早々と計画すること
- 5.長範(ちょうはん)があて飲み:他人のお金を当てにして失敗すること
- 6.卵を見て時夜(じや)を求む:順序を考えずせっかちに結果を求めること
- 7.生まれぬ先の襁褓(むつき)定め:準備ばかり早く大袈裟なこと
- 8.穴の狢(むじな)を値段する:当てにならない事を期待しその気になる愚かさ
なお、「取らぬ狸の皮算用」と同じ意味で、単純に「皮算用」「胸算用」という表現をすることもあります。
また、類語にあたる四字熟語としては、「偶然の幸運を当てにする愚かさのたとえ」という意味を持つ「守株待兎(しゅしゅたいと)」が当てはまるでしょう。
その一方で、「取らぬ狸の皮算用」の対義語に当てはまる表現としては、「収入をしっかり計算し、それに応じた支出をすること」を意味する「入るを量りて出ずるを為す」などがあります。
とはいえ、上記にあげたようにこれだけ多くの類語があるということは、それだけ人は妄想上の希望に頼りたがるという事が言えるのかもしれませんね(笑)
さて、ここまできたら「取らぬ狸の皮算用」の完全制覇まであと一歩です!
極めつけとして「取らぬ狸の皮算用」の「英語訳」も知る事で、この表現のキャラを完璧に掴んでしまいましょう!
皆さんも、自分が知っている英語で思い付く表現があったりしませんか?
取らぬ狸の皮算用の英語訳
英語で「取らぬ狸の皮算用」を表現するとしたら、下記のような例が適切でしょう。
1.Catch the bear before you sell its skin.
「毛皮を売る前に熊を捕らえよ」という、英語版の「取らぬ狸の皮算用」ですね。2.Don’t count your chickens before they hatch.
「取らぬ狸の皮算用」と同じ意味の英語のことわざで、訳すと「卵がかえる前にひよこの数を数えるな」となります。3.Never spend your money before you have it.
直訳すると「まだ手に入れてないお金を使うな」となる、英語訳になります。
同じようなことわざでも、その比喩表現に文化の違いが現れるのは面白いですよね。
さて、それでは最後に「まとめ」でおさらいをし、このことわざを完全にマスターしましょう!
なお、まとめの最後には、皆さんの役に立つちょっとしたオトク情報もプレゼントしてますよ♪
まとめ
いかがでしたか?「取らぬ狸の皮算用」の意味はしっかり理解できたでしょうか?
最後に、ここまでの内容を簡単にまとめましょう。
【取らぬ狸の皮算用】 | |
意味 | 不確実な当てを期待し計画する |
語源 | 想像上で狸の皮を売った収入 |
状況 | 注意する・批判する |
類語 | 儲けぬ前の胸算用 |
対義語 | 入るを量りて出ずるを為す |
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