誰しも一度は聞いたことのある「井の中の蛙大海を知らず」という表現ですが、その正しい意味はご存じでしょうか?
実は、このことわざは「井の中の蛙」と省略されたり「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」という続きがあったりするので、それらの意味を混同している方が多い、要注意の表現なのです。
ということで今回は、「井の中の蛙大海を知らず」の関連語のそれぞれの意味の違いに加え、例文や類語なども参考に、詳しく&分かりやすくその意味を解説致します!
目次
井の中の蛙大海を知らずの意味
それではまず、「井の中の蛙大海を知らず(いのなかのかわずたいかいをしらず)」の意味を見ていきましょう。
「井の中の蛙大海を知らず」の意味とは、「自分が見ている世界が全てであると思っており、見識が非常に狭いこと」という意味になります。
これは別の言葉で言えば、「慣れ親しんだものものごとに執着し他の可能性を考えることができず、とても視野が狭いこと」とも言えるでしょう。
つまり、「新しい扉の存在を認識できず、現状に甘んじている愚かな様子」を指して「井の中の蛙大海を知らず」を使う事ができるということです。
したがって、「井の中の蛙大海を知らず」という表現を使う状況としては、「視野が狭い」ことを批判したり、馬鹿にしたり、皮肉ったりする目的で用いることが多くなります。
つまり、基本的には「井の中の蛙」に該当する人を否定するニュアンスで使う表現なので、決して誉め言葉としては使わないようにしましょう。
また、このことわざを使う具体的なシーンとしては、「蛙」に当たる人物が偉そうに振舞っている場合に使われるケースが多いのもポイントです。
つまり、「自分は見聞があるかの如く威張っているけれど、実際は何も知らないイタい人」という哀れみのような気持ちを込めて、陰口としてこの表現を用いることが多いと言えます(笑)
なお、念のための確認ですが、「井の中の蛙大海を知らず」の「井」は「井戸」のことを指し、「蛙」は「カエル」を、「大海」は「大きな海」を意味しています。
したがって、この表現は「狭い井戸の中に住むカエルが、井戸の中の世界がすべてだと勘違いしていて、井戸の外にある大きな海の存在を知らない様子」を比喩表現に使ったことわざという事ですね。
これは、暗くて深い井戸の底でポツンとたたずむカエルを実際に想像していただくと、このことわざの持つニュアンスがよりイメージしやすいと思います。
なお、冒頭でも触れたように、「井の中の蛙大海を知らず」は省略して「井の中の蛙」という形で使われることもありますが、その意味は同じです。
しかし、その使い方としては、『あの人は「井の中の蛙」だ』というような形で、名詞のように使うことが多くなります。
ちなみに、より具体的な言い回しやよく使われるフレーズは、実際の例文を見ると分かりやすいので、後程ご紹介させていただきますね。
さて、ということで、ここまでで「井の中の蛙大海を知らず」の意味がおおむね理解できた後は、続いて、冒頭でも触れた「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」の意味についてご紹介させていただきます!
「されど空の青さを知る」という文言が付け加えられると、どのように意味が変化するのでしょうか?
井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知るの意味
さて、さきほどの意味の解説でも前述した通り、「井の中の蛙大海を知らず」ということわざは、基本的には良い意味合いでは使われません。
そんなネガティブなニュアンスを持つ「井の中の蛙大海を知らず」の後に「されど空の青さを知る」という言葉が続くと、どのような意味合いに変化するのでしょうか。
結論から言うと、「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」の意味は、「井戸の中の蛙は外に広い海があることは知らないものの、その一方で、井戸から見える空の青さなど、井戸の中の世界にずっといたからこそ知っていることがある」という意味になります。
つまり、「井の中の蛙大海を知らず」だけの場合は、「見識が狭い」というネガティブな意味で使われますが、「されど空の青さを知る」という続きが追加されると、「狭い世界にいるからこそ、その世界の深さや詳細について熟知している」というような、本来の意味とは全く逆のポジティブな意味に変化するのです。
これは、とても興味深い現象ではないでしょうか?
まさに、蛙による一発逆転満塁ホームランのような状況ですよね(笑)
冗談はさておき、皆さんもご存じのように日本には数多くのことわざが存在しますが、とは言え、このように元々の表現に追加表現が加わることで意味が反対のニュアンスに代わるという事例は他にはありません。
そういった意味では、「井の中の蛙大海を知らず」という表現は多くの人々に認知される一方で、その意味合いに異を唱える人々も一定数いたということでしょう。
そうでなければ、「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」という表現が、ここまで普及することはなかったはずです
しかし、そうは言っても真逆の意味を持たれては、使う側としては少し困惑してしまいますよね?
というか、実際はどちらの意味で使うのが正しいのでしょうか?
実はその答えは、「井の中の蛙大海を知らず」という言葉の持つもともとの由来を紐解くことで見えてきます。
ということで、続いては「井の中の蛙大海を知らず」という表現を正しく使いこなすためにも、その語源を把握していきましょう!
井の中の蛙大海を知らずの語源
さて、「井の中の蛙大海を知らず」ということわざにはどのような由来があるのでしょうか?
結論から言うと、「井の中の蛙大海を知らず」の由来は、中国の古い教えである『荘子』という書物の『秋水篇』という章の中に存在します。
そこには、「井の中の蛙大海を知らず」の由来と言われている下記のような記述が記されています。
『井蛙不可以語於海者、拘於虚也。』
これでは全く意味が分からないので、解説させていただきますね(笑)
この漢文を現代訳すると、「井戸の中の蛙と海について語れないのは、蛙が井戸の中の事しか知らないからである」という風に訳すことができます。
つまり、「井戸の中の蛙と海について語る」という表現の「語る」の部分が省略されて、今のような表現に落ち着いたということですね。
そして、肝心の「されど空の青さを知る」の追加部分に関してですが、実はこの原文にもその続きが存在しているのです。
その続きの文では、『心がよこしまな人と「道(タオ)」について語ることができない』という内容が書かれています。
これを分かりやすく表現すると、「不誠実な心の持ち主とは、道(この世の心理)については語り合えない」と言い換えられます。
つまり、原文にある「井の中の蛙大海を知らず」の続きの文章は、「されど空の青さを知る」とは全くの別物なのです。
要するに、「されど空の青さを知る」という続きの部分は、原文として中国から伝わったのではなく、中国から日本に伝わってきた後に追加されたということになります。
したがって、原文の持つ意味を尊重するなら、やはり「井の中の蛙大海を知らず」はそのままの意味で使うのが正しいと言えそうですね。
しかし、そうは言っても「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」という表現が、現在の日本においては比較的広く普及しており、普段の日常会話でも問題なく馴染んでいることも揺るがない事実です。
したがって、そういった意味では、それぞれの表現をケースバイケースでその時々の状況に応じて使い分けるというのが、波風立たない無難な結論であると言えるでしょう。
少なくとも、ここまでの内容を踏まえて、どちらか一方だけを支持するのはナンセンスだという意見には皆さん同意していただけますよね?(笑)
ということで、意味を混同してしまうことだけには気を付けつつ、「井の中の蛙大海を知らず」も「井の中の蛙大海を知らず、されど空の青さを知る」も、両方とも使いこなせるようになっていただけければ幸いです。
さて、ということで、語源を把握し「井の中の蛙大海を知らず」の意味がスッキリ理解できたところで、続いてはこの表現がどういった時に使われるのか、例文を見ることで言葉の使い方をマスターさせましょう!
皆さんは、どのような例文が思いつくでしょうか?
井の中の蛙大海を知らずの例文
「井の中の蛙大海を知らず」という表現は、下記の例文のような形で使う事ができます。
- 例文1.あのレベルの技術で日本代表になろうだなんて、まさに「井の中の蛙大海を知らず」と言える。
- 例文2.そんな学歴で世間からの高評価を求めるとは「井の中の蛙大海を知らず」状態だね。
- 例文3.彼女は「井の中の蛙大海を知らず」のごとく、こだわりが強く意見がとても偏っている。
- 例文4.この程度の知識を自慢して得意気になるなんて、「井の中の蛙大海を知らず」もいい所だ。
ことわざというのは、ポジティブ・ネガティブどちらか一方の意味合いで使うものもあれば、両方の意味合いで使い分けることができるものもあります。
そんな中、例文をご覧いただても分かるように、「井の中の蛙大海を知らず」とは基本的にネガティブなニュアンスで使われる表現になります。
「見識が狭い」という意味では、主に「世間知らず」のような意味合いでも使われるので、当然と言えば当然ですね。
したがって、できることなら「井の中の蛙大海を知らず」という表現に該当しないように、幅広い見分と多様な価値観を持っていたいものですね(笑)
さて、ということで、例文を見て具体的な使い方が分かったところで、続いては実際の会話例を通して、自分自身で「井の中の蛙大海を知らず」という言葉を使うイメージを養ってみましょう!
皆さんも、下記の会話例のパンダさんになりきり、〇〇の部分に入る言葉を考えてみてくださいね。
井の中の蛙大海を知らずの会話例
仲良しのパンダさんとヒツジさんが、食の好みについて雑談しているシーンです。
この世で一番美味しい食べ物は〇〇に決まってるよね。
パンダ君は他の食べ物を食べた事ないでしょ?「井の中の蛙大海を知らず」とはこの事だね。
嘘だ!〇〇より美味しいものがあるなんて信じられない!
いかがでしょうか?〇〇にはどんな言葉が入りましたか?
この〇〇に入る言葉は、『笹』または『笹の葉』ですかね(笑)
食べず嫌いなどは、特に「井の中の蛙大海を知らず」に当てはまる話題と言えそうですね。
さて、ということで、パンダさん達のやり取りを見て「井の中の蛙大海を知らず」という表現を実際に使うイメージがついたところで、続いてはその類語を知ることで、この言葉の輪郭をより鮮明にしていきましょう!
皆さんも、パッと思いつく類語がありませんか?
井の中の蛙大海を知らずの類語
「井の中の蛙大海を知らず」には、下記のような類語が存在します。
- 1.「鍵の穴から天覗く」
- 鍵の穴ほどの小さい範囲から天を見たところで、何も見えないという例えですね。
- 2.「木を見て森を見ず」
- 目の前の一本の木ばかりに目がいってしまい、森全体を把握できていない事に注意を促すことわざです。
いずれの類義語も、視野が狭くなることに警鐘を鳴らす言葉ですね。
なお、念のために触れておくと、「井の中の蛙大海を知らず」の対義語のことわざとして「川の中の蛙大海を知る」という表現はないので、ご注意ください(笑)
さて、ここまで来たら「井の中の蛙大海を知らず」の完全制覇まであと一歩です!
極めつけとして「井の中の蛙大海を知らず」の「英語訳」も知る事で、この表現のキャラを完璧に掴んでしまいましょう!
皆さんも、自分が知っている英語で思い付く表現がありませんか?
井の中の蛙大海を知らずの英語訳
英語で「井の中の蛙大海を知らず」を表現するとしたら、下記のような例が適切でしょう。
1.The frog in the well knows nothing of the great ocean.
「井戸の中の蛙は偉大な海の事を何も知らない」と直訳した表現になります。
2.He lives in his own world.
直訳すると「自分の世界でしか生きていない」と訳せる英語表現ですね。
いずれの表現も中学生までに習う単語しか使われていませんが、普段あまり英語に触れる機会がない方には少し馴染みのない表現だったかもしれませんね。
それでは最後に「まとめ」でおさらいをし、このことわざを完全にマスターしましょう!
まとめ
いかがでしたか?「井の中の蛙大海を知らず」の意味はしっかり理解できたでしょうか?
最後に、ここまでの内容を簡単にまとめましょう。
【井の中の蛙大海を知らず】 | |
意味 | 自分の世界が全てだと思い見識が狭い |
語源 | 中国古代書物の『荘子』 |
感情 | 否定、軽蔑、注意 |
類語 | 鍵の穴から天覗く |
関連語 | ~、されど空の青さを知る |
さて、ここまでご覧いただたように、「井の中の蛙大海を知らず」とは、器が小さい様子を揶揄するような状況で使うことわざでした。
そういった意味でも、他者からのアドバイスを柔軟に取り入れる姿勢というのは大切ですよね。
とはいえ、私たちは歳をとるにつれて、思考が凝り固まり視野が狭くなりがちなのもまた事実です(笑)
ということで、この記事の最後に、皆さんが思い込みに捉われず柔軟な考え方ができる一冊をご紹介させて頂きます!
この本を読むことで、あなたもきっと、自分の中の固定観念が取り払われ自由な発想ができるようになりますよ!
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