皆さん一度は聞いたことはある「ミイラ取りがミイラになる」ということわざですが、その正しい意味はご存じでしょうか?
このことわざ、実は二つ意味があるのですが、それらを混同している方も意外と多い、要注意の表現なのです。
ということで今回は、例文や類語なども参考に、詳しく&分かりやすく「ミイラ取りがミイラになる」の意味を解説致します!
目次
ミイラ取りがミイラになるの意味
さて、それでは早速、「ミイラ取りがミイラになる」の意味を見ていきましょう。
冒頭でも述べたように、「ミイラ取りがミイラになる」には二つの意味があります。
その一つ目の意味とは、「人を連れ戻しに行ったものの結局連れ戻すことができずに、その人自身も帰ってこなくなること」です。
これはたとえば、「ある人物を迎えに行った本人がまったく戻ってくる気配がない」というような状況を表しています。
イメージ的には、友達の家に弟を迎えにいったはずの兄が、弟たちと一緒に遊んでしまい帰ってこなくなるような状況や、飲み会に参加している友人を迎えに行くだけのつもりだったのに、自分もその飲み会に参加することになった状況などを想像していただくと分かりやすいかと思います(笑)
つまり、「誰か特定の人物を連れ戻そうとしたにも関わらずその行為が実ることなく、なおかつ連れ戻しに行った人自身も戻ってくなくなってしまった状況」を指しているということです。
さて、それでは続いて、「ミイラ取りがミイラになる」の持つ二つ目の意味を見てみましょう。
このことわざの二つ目の意味とは、「相手を説得をしようと試みたにも関わらず、反対に相手に説得させられてしまうこと」です。
これは別の言葉で言えば、「自分の正しさを主張しようとしたものの、逆に相手の正しさに納得してしまう」とも言い換えられますね。
つまり、異なる意見を持つ相手に丸め込められたり、反論できなくなってしまった状況で、この二つ目の意味で使うことができるということです。
こちらの意味のイメージとしては、親にもちゃを買ってもらうようお願いするものの結果的に言いくるめられてしまった子供や、喧嘩中の妻を謝らせようと話しかけたのに逆に自分が謝ることになってしまった旦那さんなどを想像していただくと分かりやすいと思います(笑)
要するに、もともとは何かしらの勝算があって自分から討論を仕掛けたのに、それによって逆に相手から返り討ちにあったようなシーンで二つ目の意味の「ミイラ取りがミイラになる」が使えるということです。
このように、このことわざは、状況によって二つの意味に分けられる表現なのです。
したがって、どちらの意味で自分が使うのか、あるいは相手がどちらの意味で使っているのかは明確にする必要がありますが、その具体的な使い方に関しては実際の例文を見ることで理解できるので、後程ご紹介いたしますね。
なお、すでにお気づきの方もいると思いますが、ご覧のようにこの表現には二つの意味がありますが、両者には共通点がありますね。
その共通点とは、「最初の意図に反して、真逆の結果に終わる」あるいは、「上手く丸め込まれてしまい、結局目的が達成できない」という同じようなニュアンスで使われるということです。
つまり、これを言い換えれば「相手に影響され、当初とは逆の結果になってしまったこと」をどちらの意味も指し示しているという事です。
これは逆に言えば、両者の相違点は、相手を「迎えに行く」のか、相手を「説得しようとする」のかの違いしかないという事ですね。
そういった意味では、それぞれの意味は当然相対するものではなく、むしろ両者とも非常に似たような状況を表していると言えるでしょう。
なお、このことわざに関しては、語源を理解することが両者の意味をしっかりと把握するキーポイントとになります。
ということで、ここまでで「ミイラ取りがミイラになる」の意味がおおむね理解できた後は、続いて、この表現を正しく使いこなすために、その語源を把握していきましょう!
いったい何故、日本人にはあまり馴染みのない「ミイラ」という存在がこの表現には使われているのでしょかうか?
ミイラ取りがミイラになるの語源
さて、「ミイラ取りがミイラになる」ということわざにはどのような由来があるのでしょうか?
結論から言うと、「ミイラ取りがミイラになる」の語源は、ポルトガル語で『ミイラ』と呼ばれる薬が由来になっていると言われています。
この『ミイラ』という薬は『ミルラ』とも呼ばれ、健康に良い薬として中世ヨーロッパで広く愛用されており、当時はミイラの採取で生計を立てる人がたくさんいました。
しかし、ミイラを採取するには過酷な砂漠越えをしなければならず、そのためミイラ採取の道すがら途中で倒れて死んでしまう人が非常に多かったのです。
そして、そのような「生計を立てるために(生きるために)ミイラを採りに行ったのに、それによって命を失う」という様子が、本末転倒の結果に終わる例え話として広く使われるようになりました。
つまり、「ミイラを採りに行こうとしたものの、その途中の砂漠で倒れ結局は自分自身がミイラと化してしまう」という姿が、「ミイラ取りがミイラになる」の語源となっているということなのです。
なお、「ミイラ取りがミイラになる」の語源として、「ミイラを撃退しに行ったのにミイラに襲われた事でその人もミイラになってしまう」という、いわゆるゾンビ的なイメージをしていた方は、この際に正しい由来を覚えてしまいましょうね(笑)
さて、ということで、語源を把握し「ミイラ取りがミイラになる」の意味がスッキリ理解できたところで、続いてはこの表現がどういった時に使われるのか、例文を見ることで言葉の使い方をマスターさせましょう!
皆さんは、どのような例文が思いつくでしょうか?
ミイラ取りがミイラになるの例文
「ミイラ取りがミイラになる」という表現は、下記の例文のような形で使う事ができます。
- 例文1.綿密な計画を練ったのに相手に丸め込まれてしまい「ミイラ取りがミイラになった」と言われて当然だ。
- 例文2.予想に反して相手の説得に完全に論破された私は、「ミイラ取りがミイラになった」状況と言える。
- 例文3.「ミイラ取りがミイラにならない」ように、途中で挫折することなく必ず彼女を連れ戻して来るよ。
- 例文4.今回だけは「ミイラ取りがミイラになる」ことを避けたいので、誰を先に行かせるかよく検討しよう。
ご覧いただいてわかるように、例文1・2は「相手に言いくるめられる」という意味で使われており、例文3・4は「連れ戻しにいった人物が戻ってこない」という意味で使われていますね。
さて、ということで、例文を見て具体的な使い方が分かったところで、続いては実際の会話例を通して、自分自身で「ミイラ取りがミイラになる」という言葉を使うイメージを養ってみましょう!
皆さんも、下記の会話例のパンダさんになりきり、〇〇の部分に入る言葉を考えてみてくださいね。
ミイラ取りがミイラになるの会話例
とある取り組みを終えたパンダさんが、友人のヒツジさんのもとに帰ってきたシーンです。
〇〇に、僕と同じような見た目にするように説得してきたけど、見ての通り失敗に終わったよ。
ええ!パンダさん、全身真っ白じゃないか!その様子じゃ、まさに「ミイラ取りがミイラになる」だね。
〇〇の方が説得力が一枚上手だったね。でも、黒い模様がないもの良いものだよ!
いかがでしょうか?〇〇にはどんな言葉が入りましたか?
この〇〇に入る言葉は、言わずもがな『シロクマ』ですね(笑)
さて、ということで、パンダさん達のやり取りを見て「ミイラ取りがミイラになる」という表現を実際に使うイメージがついたところで、続いてはその類語を知ることで、この言葉の輪郭をより鮮明にしていきましょう!
皆さんも、パッと思いつく類語がありませんか?
ミイラ取りがミイラになるの類語
「ミイラ取りがミイラになる」には、下記のような類語が存在します。
- 1.「木菟引きが木菟に引かれる」(きずくびきがきずくにひかれる)
- 「木菟」とはミミズクのことで、昼間は目が見えないミミズクを馬鹿にしに来た鳥がミミズクをおとりにする猟師に捕まることから、相手を攻撃しようとして逆に相手の術中にハマる事の例えですね。
- 2.「人捕る亀が人に捕られる」
- 人を食べようとした亀が、逆に人に捕まえられることをたとえた類語です。
いずれの類語も、「ミイラ取りがミイラになる」と同様に、本来の目的とは逆の結果になってしまうことわざですね。
さて、ここまで来たら「ミイラ取りがミイラになる」の完全制覇まであと一歩です!
極めつけとして「ミイラ取りがミイラになる」の「英語訳」も知る事で、この表現のキャラを完璧に掴んでしまいましょう!
皆さんも、自分が知っている英語で思い付く表現がありませんか?
ミイラ取りがミイラになるの英語訳
「ミイラ取りがミイラになる」と全く同じ表現はありませんが、以下のような形で英語では表現できます。
1.Going for wool and coming home shorn.
「羊の毛を刈りに行ったが、自分が逆に毛を刈られて帰って来た」という意味ですね。
2.The biter is bit.
「食べようとして逆に食べられる」という表現になります。
同じようなことわざでも、その比喩表現に文化の違いが表れるのが面白いですね。
それでは最後に「まとめ」でおさらいをし、このことわざを完全にマスターしましょう!
まとめ
いかがでしたか?「ミイラ取りがミイラになる」の意味はしっかり理解できましたか?
最後に、ここまでの内容を簡単にまとめましょう。
【ミイラ取りがミイラになる】 | |
意味 | 連れ戻しに行った人が帰らない |
説得しようとし逆に論破される | |
由来 | 薬の採取途中で砂漠で死ぬこと |
類語 | 木菟引きが木菟に引かれる |
さて、ここまでご覧いただたように、「ミイラ取りがミイラになる」とは、目的が果たせないどころか真逆の結果に終わるような状況を指して使うことわざでした。
特に、誰かとコミュニケーションをとる状況において自分の意見を主張することが苦手な人は、相手に説得されてしまうケースが多くなりがちですよね。
しかし、自分を押し殺すのではなく、ちゃんと自分の意見を述べた上で相手と対話することで見えてくるものがあるのもまた事実です。
ということで、この記事の最後に、皆さんがお互いを尊重しながら自己主張ができるようになる一冊をご紹介させて頂きます!
この本を読むことで、あなたもきっと、話すことへの恐怖心がなくなり楽しく自己表現できるようになりますよ!
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