日常ではあまり耳にする機会のない「我田引水」という表現ですが、その正しい意味はご存じでしょうか?
この四字熟語は、その意味を誤解していたり、使う場面を間違えている方も意外と多いんです。
また、「我田引水」は日本人なら一発で覚えられる納得の由来もあるので、今回は例文や類語も参考にしつつ、楽しみながら理解できるようにご紹介致します!
我田引水の意味
それでは早速、「我田引水(がでんいんすい)」の意味から見ていきましょう。
「我田引水」の意味とは、「自分にとって都合の良いように振舞う」という意味になります。
これをもう少し別の言葉で言えば、「自己中心的に行動する」とも言い換えられますね。
つまり、利己的な目的から他人への迷惑などを一切考慮せずに、自分のことだけを考えた行為を指し、「我田引水」と表現できるということです。
したがって、「我田引水」だと言われてしまう人は、他人の利益・心情・都合を無視して、自分だけが良ければそれで良いという考えで行動する人のことです。
そのため、「我田引水」的な人物は、自分の振る舞いにより周囲が嫌な思いをしたり迷惑を被ったりする事に関心がないので、周りにいる人からは「自己中心的な人」「自分勝手な人」と批判される対象になりがちです。
これを聞いて、職場の同僚や知人でパッと思いつく人がいましたか?(笑)
いずれにしろ、「自分と他人を天秤にかけると、圧倒的に自分の方が優先順位が高い」といったイメージですかね。
中には、他者を蹴落とすことや、他人の足を引っ張る事しか考えていない人も稀にいるので、そのような人と付き合う際は注意が必要と言えるでしょう。
ちなみに、「我田引水」と似た言葉で「我田引鉄(がでんいんてつ)」という表現もあります。
この表現は、「我田引水」をもじった造語として明治時代から一部の人の間で使われており、その意味は「政治家が、自分の選挙区に鉄道を引いて選挙票を集める」ということを指しますね。
さて、ということで、ここまでで「我田引水」の意味がおおむね理解できた後は、続いてはこの言葉を完全にマスターするために、その語源を見てみましょう!
むしろこの表現は、その語源を把握することで意味の理解がより一層進み、結果として記憶の定着にも非常に役に立つという側面もある言葉です。
我田引水の語源
さて、「我田引水」という四字熟語には、どのような由来があるのでしょうか?
結論から言うと、「我田引水」の語源は、この四字熟語に使われている前後それぞれの熟語の意味を紐解くことで、その由来が見えてきます。
まず、一つ目の「我田」とは、そのままの意味で「自分の田んぼ」という意味になります。
続いて、二つ目の「引水」も漢字の意味そのままに「水を引く」という事を意味しています。
よって、これらの意味を持つ「我田」と「引水」が合わさった「我田引水」を直訳すると、「自分の田んぼに水を引く」ということを意味することになります。
しかし、これだけでは「他人の利益を度外視して」というニュアンスは含まれていませんね。
その疑問を解くヒントは、昔の田んぼの管理の仕方にありました。
皆さんご存知の様に、良い田んぼをつくるには豊富な水量が必要ですよね。
そして、まだ日本中に田んぼがあった時代、田んぼの水は、その地域の田んぼの持ち主同士で相談・協力をして、全員で均等に使うことがマナーでした。
しかし、なかにはそんな事お構いなしに、自分の田んぼにだけ優先的に水を入れる様な人がいたそうです。
また、ある地域では、各自の田んぼに水を回す管理はその土地の代表者が担当していたのですが、その代表者が周囲に隠して、自分の田んぼにより多くの水を入れてしまう事がありました。
このような背景から、「自分の田んぼに水を引く」=「他人の田んぼそっちのけで、自分の田んぼの事しか考えない」というイメージが結びつくことになり、そこから「我田引水」の意味にも「他人に迷惑をかけて」というニュアンスが含まれるようになったということになったのです。
そして、田んぼが減った現代においては、田んぼに限らず「自分の利益だけを優先させ、他者の損害を考慮しない」という、より広い意味で「我田引水」が使われるようになったという事ですね。
そういった背景を考えると、「我田引水」とは、欧米とは違う「ムラ社会」や「稲作文化」があった日本ならではの表現と言えるでしょう。
なお、余談ですが、資本主義社会に生きる我々にとっては、「我田引水」よりも、「我社引金」=「競合他社を蹴落とし、自社のお金儲けしか考えない」という表現の方が、より身近な事例かもしれませんね(笑)
さて、ということで、語源を把握し「我田引水」の意味が完璧に理解できたところで、続いてはこの表現がどういった時に使われるのか、例文を見ることで言葉の使い方をマスターさせましょう!
ここまでの説明を聞いた皆さんは、どのような例文が思いつきますか?
我田引水の例文
「我田引水」という表現は、下記例文のような形で使う事ができます。
- 例文1.彼のやり方はいつも「我田引水」で気分が悪いよ。
- 例文2.君のしている事は「我田引水」だから、やめた方が良い。
- 例文3.常に個人プレーに走る為、彼女は「我田引水」と言える。
- 例文4.最近のA国は「我田引水」そのものと言える横暴ぶりだ。
- 例文5.「我田引水」にならないよう注意をして人と接している。
四字熟語にはポジティブ又はネガティブのどちらか一方の意味で使うものと、どちらの意味でも使用できるものがあります。
しかし、例文をご覧いただいて分かる様に、「我田引水」はネガティブな意味でのみ使われる四字熟語になります。
したがって、『君は「我田引水」で素晴らしいね』といったように使うと、皮肉を言っている事になるのでご注意ください(笑)
いずれにしろ、幸せな人生を歩みたいのであれば、周囲から「我田引水」と言われてしまうような行動はしないほうがよさそうです。
さて、ということで、例文を見て具体的な使い方が分かったところで、続いては実際の会話例を通して、自分自身で「我田引水」という言葉を使うイメージを養ってみましょう!
皆さんも、下記の会話例のパンダさんになりきり、〇〇の部分に入る言葉を考えてみてくださいね。
我田引水の会話例
幼馴染みのパンダさんとヒツジさんが、自宅で鍋パをしています。
今日は久しぶりのすき焼きだね!美味しくて箸が止まらないよ!
そうだね~、って!パンダさんさっきから〇〇しか食べてないじゃん!野菜とかも食べてよ!
普段、動物園で笹の葉しか食べさせてもらえない僕にとって、すき焼きは貴重な動物性タンパク質を摂る機会なんだから、大目に見てよ~。
なにその理由!僕の分の〇〇無くなっちゃうでしょ!「我田引水」な行動はやめてよね!
いかがでしょうか?〇〇にはどんな言葉が入りましたか?
この〇〇に入る言葉は、恐らく『牛肉』ですね(笑)
すき焼きに限らず基本的に鍋料理をみんなで食べる状況下では、このような現象って起こりがちですよね(笑)
さて、ということで、パンダさん達のやり取りを見て「我田引水」という表現を実際に使うイメージがついたところで、続いてはその類語・対義語を知ることで、この言葉の輪郭をより鮮明にしていきましょう!
皆さんも、パッと思いつく類語や対義語がありませんか?
我田引水の類語・対義語
「我田引水」には、下記のような類語が存在します。
- 1.「厚顔無恥」(こうがんむち)
- 「面の皮が厚く、恥を知らない」という意味で、「自分勝手に振舞うことに抵抗がなく、それを恥ずかしいとすら思わない」という意味の類語ですね。
- 2.「牽強付会」(けんきょうふかい)
- 「自分の都合が良いように無理にこじつける」という意味で、「こじつける」という部分が「我田引水」との違いです。つまり、「我田引水」の様に自分勝手なだけでなく、そのこと自体を正当化するため無理にこじつける様子を指しています。
- 3.「得手勝手」
- 他人に構うことなくワガママ放題するさまで、「我田引水」よりも更に「自己中心的・自分勝手」というニュアンスが強くなる類語です。
- 4.「私利私欲」
- 自分の欲求を満たす事のみを考え行動することで、我田引水よりも「貪る・がめつく」というイメージが強く出る表現ですね。
なお、「我田引水」の対義語としては、「自他共栄」が挙げられます。これは、「互いに信頼し助け合えば、自分も他人も共に栄えていける」という意味ですね。
また、「明鏡止水(めいきょうしすい)」も「我田引水」の対義語で、その意味は「よこしまな考えを持たず悪意もない、静かな心」を表し、「平等・協力・協調」といったイメージの四字熟語になります。
このように、類語・対義語と比較することで、「我田引水」の持つニュアンスがよりシャープになりますね。
さて、ここまで来たら「我田引水」の完全制覇まであと一歩です!
極めつけとして「我田引水」の「英語訳」も知る事で、この表現のキャラを完璧に掴んでしまいましょう!
皆さんも、自分が知っている英語で思い付く表現がありませんか?
我田引水の英語訳
英語で「我田引水」を表現するとしたら、下記のような例が適切でしょう。
Every miller draws water to his own mill
直訳すると「全ての粉屋は、自分の粉ひき場へ水を引く」と訳され、「我田引水」と同じ意味で使われ、尚且つ比喩表現も非常に似ている、英語のことわざになります。
なお、英語では単純に「selfish」という単語があり、これは「自分本位の」「利己的な」「わがままな」という意味になります。
さて、それでは最後に「まとめ」でおさらいをし、この四字熟語を完全にマスターしましょう!
なお、まとめの最後には、皆さんの役に立つちょっとしたオトク情報もプレゼントしてますよ♪
まとめ
いかがでしたか?「我田引水」の意味はしっかり理解できたでしょうか?
本文でも軽く触れましたが、これからの時代は「我田引水」のような「欠乏・競争」という価値観ではなく、「充足・共生」というパラダイムで生きていく方が、本質的に幸せな人生を歩めそうですね!
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