日常でも比較的触れる機会のある「馬耳東風」という表現ですが、その正しい意味はご存じでしょうか?
「馬の耳に念仏」という似たような表現もあるため、使うシーンを間違えている方も意外と多い言葉です。
なので、しっかりと意味を理解する為に例文なども参考にしつつ、楽しみながら理解できるようご紹介致します!
馬耳東風の意味
それでは早速、「馬耳東風(ばじとうふう)」の意味から見ていきましょう。
「馬耳東風」の意味とは、「人の意見や批評を聞かずに聞き流すこと」という意味になります。
また、そこから転じて「人の話をしっかり聞こうとしない態度」や「人からの注意・批判を受け流して、全く反省しない様子」という意味でも使われます。
いずれにしても、より噛み砕いて言うと「他人からのアドバイスを完全に無視してスルーする」というイメージですね。
なお、基本的に他人からの注意を聞かないことは良いこととは言えないので、「馬耳東風」はもっぱらネガティブな意味で使われます。
一見すると「馬耳東風」のという漢字の字面から、どこか素朴で牧歌的な印象を持つかもしれませんが、決してそのような良いイメージの表現ではないので、ご注意くださいね。
ちなみに、「馬耳東風」の意味を忘れないコツとしては、「馬の耳に風が吹いても、馬は全く感動しない」ことから、「耳に入ってくる意見があっても(風が吹いても)、聞き入れようとしない(意識することはない)」ということを頭に入れておくと良いと思います。
なお、「馬耳東風」のそれぞれの漢字の意味を見ていくのも、この四字熟語の意味を把握する上での大切なポイントになるので、ご紹介しますね。
まず前半部分の「馬耳」ですが、その意味はそのまま「馬の耳」を指しています。
そして後半部分の「東風」が、実は「春風」を表す言葉なんですね。
「東風」は「こち」とも読み、「東方から吹いて来る春を告げる風」として、古来より雅語として使われている季語になるので、そのような背景も踏まえて覚えると忘れにくいでしょう。
そういった意味では、ただ吹いてくる風でなく、春の訪れを感じる嬉しい風にすら何も感じないという意味合いも含まれているのでしょう。
ただ個人的には、「ここまで鈍感さを強調される馬も可愛そうだな」と思ってしまいますが(笑)
さて、ということで、ここまでで「馬耳東風」の意味がおおむね理解できた後は、続いてはこの言葉を完全にマスターするために、その語源を見てみましょう!
むしろこの四字熟語は、その語源を把握することでより一層意味の理解が進み記憶の定着に役立つ、という側面もある表現です。
馬耳東風の由来
さて、「馬耳東風」という四字熟語には、どのような由来があるのでしょうか?
結論から言うと、「馬耳東風」の語源は、中国の唐時代の詩人である「李白」の書いた詩「答王十二寒夜独有懐」の中の一説にそのルーツがあります。
その書物には実際には、下記のように記されています。
『世人此れを聞き皆頭を掉う。東風の馬耳を射るが如きあり。』
この文章を現代語訳すると、「世の人たちは詩を聞いても、その良さが分からず頭を振って聞き入れない。それはまるで、馬の耳に春風が吹くようなものである」という意味になります。
つまり、このように「馬耳東風」という言葉は、才能ある詩人の作品が一般大衆にはなかなか受け入れられなかったことが語源になっているのですね。
そういった意味では、自身の詩の素晴らしさを理解してもらえない李白の、嘆きや憂いの感情がこもった四字熟語とも言えるでしょう。
現代的にイメージするなら、売れないミュージシャンが「俺の才能に、時代が追い付いてないのが悲しいぜ」とツイートする感じでしょうか(笑)
もっとも、李白はしっかり後世に名を残しているので、本当に才能があった点では、このミュージシャンとは月とスッポンかもしれませんが。
さて、ということで、語源を把握し「馬耳東風」の意味が完璧に理解できたところで、続いてはこの表現がどういった時に使われるのか、例文を見ることで言葉の使い方をマスターさせましょう!
ここまでの説明を聞いた皆さんは、どのような例文が思いつきますか?
馬耳東風の例文
「馬耳東風」という表現は、下記の例文のような形で使う事ができます。
- 例文1.私は「馬耳東風」な態度をした事で、非難を浴びた。
- 例文2.彼ににそんなこと言っても「馬耳東風」だから無駄だよ。
- 例文3.そのように「馬耳東風」な姿勢では、なかなか成長できない。
- 例文4.「馬耳東風」と聞き流していると誰も何も言ってくれなくなるよ。
- 例文5.彼女には多くの噂話があったが、当の本人は「馬耳東風」だった。
- 例文6.「馬耳東風」な人は、他人から信用されないので皆から避けられる。
四字熟語には、ポジティブ又はネガティブのどちらか一方の意味で使うものと、どちらの意味でも使用できるものがあります。
そんな中、例文をご覧いただいて分かる様に、「馬耳東風」は基本的にネガティブな意味として使われる表現になります。
なお、「馬耳東風」の使い方として「自分とは無関係だ」という意味合いで使われることがありますが、これは厳密には間違いになります。
注意すべき点は、「馬耳東風」の意味は「聞き流すこと」であり、自分と関係があるか否かという主観的な判断は存在しません。
つまり、「馬耳東風」は単に「聞き流す」姿勢を表現するだけであり、「無関心」という意味では使われないという事です。
もう少し噛み砕いて説明すると、仮に「馬耳東風」で聞き流していても、「実は関心はあるが、聞き流してしているだけ」というケースもあるという事になります。
したがって、仮に関心はあっても「馬耳東風」で聞き流しているという状況がありえるので、ご注意くださいね。
もっとも、むしろ「馬耳東風」な態度の人は、その指摘が実は耳が痛いが故に聞き流しているケースも意外と多いような気もしますが(笑)
さて、ということで、例文を見て具体的な使い方が分かったところで、続いては実際の会話例を通して、自分自身で「馬耳東風」という言葉を使うイメージを養ってみましょう!
皆さんも、下記の会話例のパンダさんになりきり、〇〇の部分に入る言葉を考えてみてくださいね。
馬耳東風の会話例
仲良しのパンダさんとヒツジさんが、一緒に夜ご飯を食べています。
久しぶりのファミレス嬉しいな~♪ 何食べようかな~?
パンダさん最近太り気味だから、ヘルシーな和風御膳とかにしたら?
確かにそうだね。すいませ~ん!この〇〇一人前お願いします。
うわ!僕の意見は全無視で、そんな高カロリーメニューを!まさに「馬耳東風」じゃないか!
いかがでしょうか?どんな言葉が入りましたか?
この〇〇に入る言葉は、『ステーキ定食』『ミックスグリルセット』などですかね(笑)
このように、ありがたいアドバイスでも欲望に勝てないことって本当に多いですよね(笑)
さて、ということで、パンダさん達のやり取りを見て「馬耳東風」という表現を実際に使うイメージがついた(?)ところで、続いてはその類語を知ることで、この言葉の輪郭をより鮮明にしていきましょう!
皆さんも、パッと思いつく類語がありませんか?
馬耳東風の類語
「馬耳東風」には、下記のような類語が存在します。
- 1.「呼牛呼馬」(こぎゅうこば)
「相手に言われるがまままに逆らわないこと」という意味の類語ですね。 - 2.「対牛弾琴」(たいぎゅうだんきん)
牛は琴の音を聞いても分からないという例えから「せっかくの行為や努力が無駄になった」という意味を持っています - 3.「付和雷同」(ふわらいどう)
「自分にしっかりとした意見がなく他人に同調する」という意味の類語になります。
なお、「手ごたえがなく、効き目や張り合いを感じない」という意味では、「暖簾(のれん)に腕押し」や「糠に釘」なども「馬耳東風」の類語と言えるでしょう。
ちなみに、冒頭でも触れたように、「馬の耳に念仏」ということわざが「馬耳東風」と同義語である言われることもありますが、正確には間違いです。
確かに、両者は「人の意見を聞かずに聞き流す」という意味では共通点があります。
しかし、「馬の耳に念仏」は、馬にどれだけ価値ある念仏を唱えても、その意味を馬は理解できないことから、「言い聞かせたところで、その価値が理解できないさま」を意味しています。
要するに、「馬の耳に念仏」は、価値のある事を言っても、その人にはその価値が分からないという聞き手の理解力が問題になります。
しかし、その一方で「馬耳東風」は、その価値が分かる分からないに関わらず、そのことを聞き入れない態度のことを指しています。
つまり、「馬の耳に念仏」も「馬耳東風」も、どちらも「人の意見を聞かない」という態度は同じですが、「馬の耳に念仏」は「その意見の価値を理解できる能力が足りない」という点で、「馬耳東風」のように最初から聞き入れる気がないという意味ではないので、両者はニュアンスが微妙に異なるという事ですね。
したがって、「馬耳東風」は、相手がその意見や注意に価値を感じているか否かに関わらず使えると覚えておくと良いでしょう。
なお、そういった違いが両者にはあるので、目上の方に「馬の耳に念仏」と言うのは、「あなたには私の意見を理解する能力がない」という意味になり、かなり失礼な物言いになるので注意しましょう(笑)
したがって、もし上司や先輩が意見を聞いてくれないときは、「馬耳東風」という表現をすると波風が立たない言い方になるということですね。
さて、ここまで来たら「馬耳東風」の完全制覇まであと一歩です!
極めつけとして「馬耳東風」の「英語訳」も知る事で、この表現のキャラを完璧に掴んでしまいましょう!
皆さんも、自分が知っている英語で思い付く表現がありませんか?
馬耳東風の英語訳
英語で「馬耳東風」を表現するとしたら、下記のような例が適切でしょう。
like talking to the wall
「壁と話しているようだ」という比喩表現で、「話を聞かずに聞き流している」という意味になります。
同じ意味の言葉でも、その比喩表現に文化の差が表れるのは面白いですね。
それでは最後に「まとめ」でおさらいをし、この四字熟語を完全にマスターしましょう!
なお、まとめの最後には、皆さんの役に立つちょっとしたオトク情報もプレゼントしてますよ♪
まとめ
いかがでしたか?「馬耳東風」の意味はしっかり理解できたでしょうか?
冒頭でも述べましたが、「馬耳東風」自体は基本的にネガティブな意味合いで使われます。
しかし、その一方であらゆる意見を鵜呑みにしてしまうのも問題なので、そういった意味では、ある程度「馬耳東風」な態度を使いこなすことも、自分らしく生きる上で大切な要素と言えるでしょう。
ということで、この記事の最後に、皆さんが適度に「馬耳東風」になることができる本をご紹介させて頂きますね!
この本を読むことで、あなたもきっと、ベストな距離感で周囲とコミュニケーションがとれるようになれますよ!
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