一般的にはあまり使う事の少ない「呉越同舟」という表現ですが、その正しい意味はご存じでしょうか?
実はこの四字熟語は、その意味を誤解していたり、使う場面を間違えている方も意外と多いんです。
一方で、「呉越同舟」には意味の理解に役立つ面白い言葉の由来もあるので、例文や類語も参考にしつつ、楽しみながら把握できるようにご紹介致します!
呉越同舟の意味
それでは早速、「呉越同舟(ごえつどうしゅう)」の意味から見ていきましょう。
「呉越同舟」の意味とは、「仲が悪かったり敵対していたりする者同士が、同じ場所に居合わせる」という意味になります。
また、そこから転じて「敵対する者同士が、同じ利害や問題解決のために力を合わせる」という意味でも使われます。
つまり、この意味をもう少し簡単に言い換えると「ライバル同士がばったり遭遇してしまう」「敵同士が同じゴールを達成するためタッグを組む」というイメージです。
なお、普段の日常会話では、「同じ場所に居合わせる」という意味合いより、「協力し合う」という意味で使われることの方が多くなっているのもポイントになります。
そういった意味では、危機的状況の「ピンチ」が敵と和解する「チャンス」になったり、ライバルと協力することでピンチな状況がチャンスになるという風に捉えてもいいかもしれませんね。
また「同舟」を「どうせん」と読んだり、「同船」と表記するのは間違いなので注意が必要です。
なお、「呉越同舟」に使われる「舟」という漢字についても、なぜ「船」ではないかも大切なポイントなので、詳しく説明しますね。
一般的に、「船」という漢字は「海を渡る船全般」を表すのに対し、「舟」は「船」に比べサイズが小さく、モーターなどの動力がない「手漕ぎボート」のようなものを指しています。
そして、「呉越同舟」の「呉越」とは、どちらも紀元前500年ほど前の春秋時代の中国にあった「呉」と「越」という二つの国のことで、当然この言葉の起源もその時代にあります。
そのような背景から考えると、紀元前500年の時代に「モーター付きの大型船」がないのは簡単にイメージできますよね(笑)
したがって、「呉越同舟」の「舟」も、川を渡るための小舟であるため、「舟」という漢字を使うということです。
さて、ということで、ここまでで「呉越同舟」の意味がおおむね理解できた後は、続いてはこの言葉を完全にマスターするために、その語源を見てみましょう!
むしろこの四字熟語は、その語源を把握することでより一層意味の理解が進み記憶の定着に役立つ、という側面もある表現です。
呉越同舟の由来
基本的に四字熟語の由来というは、何かしらの歴史的な逸話・古くから伝わる書物や伝記に由来するパターンと、その四字熟語に使われている「漢字の意味」を紐解くことで、由来が見えてくるパターンのものとがあります。
今回の「呉越同舟」は前者のパターンで、中国春秋時代の武将『孫子』が書いた兵法書である『孫子諺義』の中にその由来があります。
ただし、この話は実際にあった実話ではなく、あくまで「孫子諺義」の中にある「たとえ話」なので、その点はご注意くださいね。
「呉越同舟」という表現は、「孫子諺義」の中の『常山の蛇勢(じょうぜんのだせい)』という話の中で語られているので、詳しく見ていきましょう。
その文の中で、『「常山の蛇」という伝説上の蛇が、長い尻尾と頭を連動させて戦うように、どうしたら効果的に軍隊を動かせるか』という問いに対する孫子の答えがあるのですが、その回答が「呉越同舟」の意味に繋がっており、そこには実際下記のように表記されています。
『敢問、兵可使如率然乎。曰、可。夫呉人與越人相惡也。當其同舟而濟、遇風、其相救也、如左右手。』
この表現を現代語訳すると、『敢えて聞いてみた。軍隊を常山の蛇のように動かせるだろうか?と。すると、孫子いわく「できる」とのことであった。彼いわく、呉越の人は互いに憎み合っているが、一緒に乗った船が突風で転覆しそうな状況になれば、彼らはお互いが左右の手のように連携し合い、助け合うようになるだろうと。』
いかがですか?「なるほど~」と思われないでしょうか?
ちなみに個人的には、この孫子の話を聞いて私は、国民的人気漫画「ワンピース」に出てきがちなシーンだなと思いました(笑)
冗談はさておき、つまり、軍隊を効果的に動かすためには、兵を死地など危険な状況に置くことで、自然と結束力が高まり互いに協力し合うようになる、ということですね。
なお、簡単な補足ですが、中国春秋時代に存在した「呉」と「越」の両国は、長い間ずっと敵対関係にあり、国民同士の仲も非常に険悪でした。
実際、当時から2000年以上経った現代においても、「呉越」と言えば「とても仲の悪い関係」という意味で中国の辞書に載っているほどなんです。
孫子は、それほどまでに仲の悪い者同士でも、同じ危機に直面すれば自ずと助け合わざるを得なくなるという、人間の本質をついた回答を残し、それが非常に的を得ていたことから、今でも語り継がれるほどの表現として残ったのですね。
さて、ということで、語源を把握し「呉越同舟」の意味が完璧に理解できたところで、続いてはこの表現がどういった時に使われるのか、例文を見ることで言葉の使い方をマスターさせましょう!
ここまでの説明を聞いた皆さんは、どのような例文が思いつきますか?
呉越同舟の例文
「呉越同舟」という表現は、下記の例文のような形で使う事ができます。
- 例文1.見知らぬ国で日本人に出会うと「呉越同舟」で即座に仲良くなれる。
- 例文2.選挙に勝つためにライバル同士が「呉越同舟」するケースが稀にある。
- 例文3.今は言い争っている場合ではないので、ひとまず「呉越同舟」といこう。
- 例文4.離婚寸前だった夫婦が、災害を前に「呉越同舟」で乗り越えようとしている。
- 例文5.女子の場合は、グループ内に憎まれ役が一人いると「呉越同舟」で結束力が高まる傾向がある。
- 例文6.あの二人は普段は仲が悪いが、試合となると「呉越同舟」な見事なコンビネーションを発揮する。
四字熟語には、ポジティブ又はネガティブのどちらか一方の意味で使うものと、どちらの意味でも使用できるものがあります。
そんな中、例文をご覧いただいて分かる様に、「呉越同舟」は基本的にポジティブな意味として使われる表現になります。
本来いがみ合う者同士が危機に直面したことで仲良くなり、なおかつ、そのことで良い結果が生まれるのであれば、ある種「一石二鳥」と言える素晴らしい話ですよね。
さて、ということで、例文を見て具体的な使い方が分かったところで、続いては実際の会話例を通して、自分自身で「呉越同舟」という言葉を使うイメージを養ってみましょう!
皆さんも、下記の会話例のパンダさんになりきり、〇〇の部分に入る言葉を考えてみてくださいね。
呉越同舟の会話例
同僚のパンダさんとヒツジさんが、仕事の休憩中に雑談しています。
聞いてよ!今回の企画チームが、パン太郎との二人組だったんだ!
え?パンダさんとは犬猿の仲じゃん!それは仕事が進まなかっただろうね。
それがさ、企画案が採用されたら〇〇奢ってくれるって上司が言うから、必死になって頑張ったら、見事僕らの企画が通ったんだ!
うわ!まさに「呉越同舟」!君らの食に対する執着はすさまじいな(笑)
いかがでしょうか?どんな言葉が入りましたか?
この〇〇に入る言葉は、『焼肉』『ランチ』などですかね(笑)
このパンダさんのように、食欲に負けて意地を張るのをやめるケースは皆さんも経験がないでしょうか?(笑)
さて、ということで、パンダさん達のやり取りを見て「呉越同舟」という表現を実際に使うイメージがついた(?)ところで、続いてはその類語を知ることで、この言葉の輪郭をより鮮明にしていきましょう!
皆さんも、パッと思いつく類語がありませんか?
呉越同舟の類語
「呉越同舟」には、下記のような類語が存在します。
- 1.「同舟相救う」(どうしゅうあいすくう)
「同じ船に乗り合わせれば、いざという時には赤の他人同士でも助け合う」という意味の類語です。 - 2.「大同団結」
「利害が一致する事で、細かい主義主張を越えて協力し合う」という意味の類語になります。
また、「呉越同舟」と似たような表現としては「一致団結」や「昨日の敵は今日の友」なども類語として挙げられるでしょう。
なお、「呉越同舟」の対義語にピッタリ当てはまるものはないですが、強いて言えば、同じ仲間うちにも関わらず異なる考えを持つことを指す「同床異夢」が挙げられるかと思います。
さて、ここまできたら「呉越同舟」の完全制覇までもう一歩です!
極めつけとして「呉越同舟」の「英語訳」も知る事で、この表現のキャラを完璧に掴んでしまいましょう!
皆さんも、自分が知っている英語で思い付く表現がありませんか?
呉越同舟の英語訳
英語で「呉越同舟」を表現するとしたら、下記のような例が適切でしょう。
1.woes unite enemies
「災いは敵同士を団結させる」という意味の英語特有の表現ですね。2.bitter enemies in the same boat.
「同じ船の仇」を意味する英語訳になります。
上記のような表現は、普段あまり英語に触れる機会がない方にとっては、馴染みのない表現だったかもしれませんね。
さて、それでは最後に「まとめ」でおさらいをし、この四字熟語を完全にマスターしましょう!
なお、まとめの最後には、皆さんの役に立つちょっとしたオトク情報もプレゼントしてますよ♪
まとめ
いかがでしたか?「呉越同舟」の意味はしっかり理解できたでしょうか?
たしかに、普段の生活の中で、どうしても仲良くなれない人とも顔を合わせなければいけない状況は、誰しもにあると思います。
特に、職場などではそそういったケースが多くなりがちで、そんな時も「呉越同舟」で乗り切れば良いのかもしれませんが、正直そんなにうまくいかないですよね…(笑)
ということで、この記事の最後に、「呉越同舟」の機会がなくとも、今の人間関係の悩みが無くなる一冊をご紹介させて頂きます!
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