日本を代表することわざとも言える「猫に小判」という表現ですが、その正しい意味はご存じでしょうか?
実はこのことわざ、日本人なら思わず「なるほどね~」と唸ってしまうであろう、非常に納得感のいく面白い語源を持っている、とても興味深い表現でもあるのです。
ということで今回は、例文や類語も参考に、詳しく&分かりやすく「猫に小判」の意味を解説致します!
猫に小判の意味
それでは早速、「猫に小判」の意味を見ていきましょう。
「猫に小判」の意味は、「貴重なものを与えても、当人にはその価値が分からないこと」という意味になります。
これは言い換えれば、「その価値を理解できない人にそれを与えても無駄になってしまう」とも言えますね。
つまり、それを与えることで受けられるはずだった恩恵や効果が全く発揮されない状況で、「猫に小判」という表現は用いることができるということです。
イメージ的には、せっかく価値あるものを与えたのにも関わらず、相手が感動していなかったりして反応が薄い、あるいはそもそも何の反応もないといったシチュエーションや、その価値を活かしきれていないような状態が当てはまります。
したがって、この表現を使う背景にある心情としては、「がっかり」「残念だ」といった落胆しているような気持ちや、その一方で、価値が分からないという事に対して呆れていたり、軽蔑しているような心境で使われます。
場合によっては、呆れるを通り越して「この価値を理解できないなんてけしからん!」といった感じで、相手に対して怒りを覚えているようなシーンで使われることもありますね。
また「猫に小判」の意味をしっかりと理解する上で大切なのは、「価値が分からない」という状態には二種類あるという事も大事なポイントになります。
どういうことかと言うと、一口に「価値が分からない」と言っても、それは「価値を理解する能力がない」というパターンと、「価値観が違うので同意を示せない」というパターンとがあるということです。
具体例で言えば、前者の「価値を理解する能力がない」の場合は、まさに「猫に小判」という比喩表現のように、そもそも猫にはお金の価値を理解することはできません。
つまり、どれだけ小判の価値を猫に説明しようが、猫の能力的に理解することができないということです。
これは言い換えれば、その価値を発揮するだけの能力を持っていないとも言えますね。
たとえば、料理が出来ない人に切れ味の鋭い包丁を与えても使いこなせませんし、日本語が分からない外国人に日本語で書かれた本をプレゼントしても読めませんよね?
こういった事例のように、そのものの価値を発揮するための能力を持たない人に与えることで、有意義な価値が無駄になってしまう「宝の持ち腐れ」のような状態が、「猫に小判」に含まれる一つ目のニュアンスということです。
一方で、二つ目の「価値観が違うので同意を示せない」というケースは、恐らく皆さんも日常で感じた経験があるのではないでしょうか?
例えば、時計に興味がない人にとってはたかが時計に数百万円も払うのは信じられない行為ですし、あるいは、食べることに無関心な人にとっては高級フレンチで食事をすることには何のメリットも感じないでしょう。
そういった形で、お互いの好き嫌いや大切にしているものが違うこと、すなわち「価値観の違い」によって意見の相違が起こるケースが、「猫に小判」の持つ二つ目のニュアンスです。
要するに、どれだけ自分自身にとっては貴重なものであっても、そのことに相手が価値を感じなければ「猫に小判」に終わってしまうという事ですね。
つまり、このように、「価値を理解する能力がない」と「価値観が異なるため同意を得られない」という大きく二パターンの状況において、「猫に小判」ということわざは使う事ができるのです。
なお、具体的な両者の違いについては、例文を見ることでしっかりと理解ができるので、のちほどご紹介しますね。
ちなみに余談ですが、私としては、この説明が皆さんにとって「猫に小判」とならないよう出来るだけ丁寧に説明したつもりですが、いかがでしたでしょうか?(笑)
さて、ということで、ここまでで「猫に小判」の意味がおおむね理解できた後は、この言葉を完全にマスターするために、続いてその語源を見てみましょう!
むしろ、語源を知っておかないと、そのうち正しい意味を忘れてしまうことになりかねません(笑)
猫に小判の語源
さて、冒頭でも触れましたが、「猫に小判」ということわざにはどのような由来があるのでしょうか?
お金の価値が分からない動物は他にいくらでもいるのに、なぜ「猫」が選ばれたんですかね?
結論から言うと、その理由は、猫にまつわるとある二つの性質が関係しています。
まず一つ目の性質に関してですが、それは「招き猫」というものが日本全国で広く普及したことに関係しています。
話は江戸時代にまでさかのぼるのですが、当時の一般市民の家は今と違い至る所に隙間があったため、そこからネズミが侵入し人間の食料を食べてしまうという事が日常茶飯事でした。
そして、皆さんもご存じの通り、猫はそんな迷惑極まりないネズミを食べてくれる存在になります。
しかし、猫が欲しければペットショップでいつでも買える現代とは違い、江戸時代において猫というのはペットとしては一般化しておらず、むしろ買うとすれば非常に高価なものでした。
そのため、庶民にとっては野良猫が家に住み着くような形で猫を飼いならすことが多かったのですが、猫というのは基本的に警戒心が強いので、そのように猫が懐いてくれるという事は非常に運が良いことだったのです。
そういった背景から、猫が住みつくことは大変縁起が良いとされ、嘘か本当か実際に猫が住みついた家は、ネズミによる食料被害の減少も関係するのか、商売が繁盛したりして幸運が舞い込むことが多かったそうです。
このことから、商売繁盛を祈願する「招き猫」というモチーフが生まれ、それが全国規模で広がることになります。
つまり、ことわざとして小判を与える相手に「猫」が選ばれた一つ目の理由は、「招き猫」という形で「猫」と「小判」という組み合わせが日本で広く親しまれていたということが挙げられます。
江戸時代が始まってから400年以上経った現代においても「招き猫」が廃れていないことを考えると、この由来はとても納得がいくものですよね。
続いて、猫がこのことわざに選ばれた二つ目の理由ですが、その理由とは「猫は人に懐かない」という性質が関係しています。
皆さんも同じイメージをお持ちだと思うのですが、猫というのは自由気ままで奔放な性格という印象がありませんか?
特に犬と比較するとその傾向は顕著ですよね。
「国家の犬」や「会社の犬」という表現にも表れているように、犬というのは非常に従順で比較的しつけがしやすい動物です。
そういった意味では、犬には人間の意に沿う行動を取らせやすいという側面があると言えるでしょう。
しかし、その一方で猫というのは、さきほども触れたように基本的に警戒心が強く、また従順さで言えば圧倒的に犬に劣ります。
むしろ、フラフラと気まぐれにほっつき歩く「根無し草」の代表例と言っても過言ではないほど、人間の思惑通りコントロールしにくい動物です。
要するに、猫の持つ、人の思った通りに動いてくれないという性質から、貴重な小判を与えても思うように動かない(意味がない)象徴として「猫」が適切だったのです。
つまり、以上に点を踏まえて「猫に小判」という比喩表現が使われた背景をまとめると、「猫とお金という組み合わせが、招き猫によって普及していた」ことと、「価値が伝わらず思い通りにならない象徴として猫がピッタリだった」という二点が由来していたということですね。
こうしてその理由を知ってみると、「犬に小判」でもなければ「鳥に小判」でもなく、「猫に小判」がことわざとして広がったことは、日本人ならばとても納得がいくのではないでしょうか?(笑)
さて、ということで、語源を把握し「猫に小判」の意味が完璧に理解できたところで、続いてはこの表現がどういった時に使われるのか、例文を見ることで言葉の使い方をマスターさせましょう!
皆さんは、どのような例文が思いつくでしょうか?
猫に小判の例文
「猫に小判」という表現は、下記の例文のような形で使う事ができます。
- 例文1.赤ちゃんが遊ぶおもちゃに、ニンテンドースイッチを選んでも「猫に小判」だ。
- 例文2.有名な大学教授の講演を聞いたが、私には「猫に小判」でレベルが高すぎて理解不能だった。
- 例文3.曾祖母の代から受け継がれる着物を譲られたが、着付けができない私には「猫に小判」なので困ってしまった。
- 例文4.価値ある歴史的建造物といえど小学生にとってはただの古くて汚い家にすぎず、「猫に小判」とはこのことだ。
- 例文5.最近話題のアイドルのライブチケットを貰ったが、そのような世界に全く感心がない私には、まさに「猫に小判」と言える。
- 例文6.サッカーに興味がない彼女の誕生日プレゼントに、有名選手のサイン入りユニフォームを贈っても「猫に小判」に終わるだろう。
慣用句というのは、ポジティブ・ネガティブのどちらか一方の意味合いで使えるものと、両方の意味で使えるものがあります。
そんな中、例文を見ていただいて分かるように「猫に小判」という表現は基本的にネガティブなニュアンスで使います。
このことわざを使う背景には「残念」「軽蔑」というような心情があるので、当然と言えば当然ですね。
なお、例文1~4が冒頭で説明した「価値を理解する能力がない」パターンで、例文5・6が「価値観が違うため同意できない」パターンになります。
いずれにしろ、「もったいないな~」という言葉が思わず漏れてしまうような、ミスマッチや不釣り合いが起こるシーンで「猫に小判」という表現を使えるということです。
したがって、私たちも普段の日常においては「猫に小判」と言われないような相手に喜ばれる価値を与えたいものですね(笑)
さて、ということで、例文を見て具体的な使い方が分かったところで、続いては実際の会話例を通して、自分自身で「猫に小判」という言葉を使うイメージを養ってみましょう!
皆さんも、下記の会話例のパンダさんになりきり、〇〇の部分に入る言葉を考えてみてくださいね。
猫に小判の会話例
会社の同僚であるパンダさんとヒツジさんが、飲み屋で談笑しているシーンです。
この前、結婚祝いとして〇〇のバッグを奥さんにあげたんだけど、全然喜んでくれなかったよ。
だって、パンダさんの奥さんはオシャレに興味ないって言ってたし、そしたらブランド品なんて論外でしょ~。
そうなんだよね~。まさに「猫に小判」そのものだったから、今度代わりに最高級の笹の葉を贈るつもりだよ。
うわ!「猫に小判」じゃなくて「パンダに笹」なんて間違いない贈り物じゃない(笑)
いかがでしょうか?〇〇にはどんな言葉が入りましたか?
この〇〇に入る言葉は、『グッチ』『エルメス』などですかね(笑)
ちなみに完全に余談ですが、『HERMES』って最初は絶対「ヘルメス」って読んじゃいますよね?(笑)
さて、ということで、パンダさん達のやり取りを見て、「猫に小判」という表現を実際に使うイメージがついたところで、続いてはその類語を知ることで、この言葉の輪郭をより鮮明にしていきましょう!
皆さんも、パッと思いつく類語がありませんか?
猫に小判の類語
「猫に小判」には、下記のような類語が存在します。
- 1.「豚に真珠」
値打ちが理解できないものにそれを与えても無意味であること - 2.「馬の耳に念仏」
ありがたみが理解できないことのたとえ - 3.「牛に経文(きょうもん)」
いくら言い聞かせても、何も効果がないこと - 4.「犬に論語」
いくら道理を説いても意味がないこと
なお、「豚に真珠」は「猫に小判」と全く同じ意味なので同義語に当たりますが、上記の説明の通り「馬の耳に念仏」「牛に経文」「犬に論語」の三つの類語は、「猫に小判」と微妙にニュアンスが違うので注意しましょう。
また、「猫に小判」の対義語に当てはまる表現としては「価値が分かるものに与えることでより大きい効果を発揮する」という観点で考えると、「鬼に金棒」や「弁慶に薙刀(なぎなた)」などが挙げられますね。
ちなみに、「価値が分かる人に価値あるものを与える」ということわざに「猫に魚」という表現はないので、ご注意ください(笑)
さて、ここまで来たら「猫に小判」の完全制覇まであと一歩です!
極めつけとして「猫に小判」の「英語訳」も知る事で、この表現のキャラを完璧に掴んでしまいましょう!
皆さんも、自分が知っている英語で思い付く表現がありませんか?
猫に小判の英語訳
英語で「猫に小判」を表現するとしたら、下記のような例が適切でしょう。
・Cast pearls before swine.
直訳すると「豚に目の前に真珠を放り投げる」という意味になり、「猫に小判」と同じ意味で使われる英語表現です。
同じ意味を持つことわざでも、表現の仕方にその国の文化が表れるのは面白いですよね。
それでは最後に「まとめ」でおさらいをし、このことわざを完全にマスターしましょう!
まとめ
いかがでしたか?「猫に小判」の意味はしっかり理解できたでしょうか?
最後に、ここまでの内容を簡単にまとめましょう。
【猫に小判】 | |
意味 | 貴重な物を与えても価値が分からない |
由来 | 招き猫の普及と猫の自由気ままな気質 |
感情 | 落胆、呆れる、軽蔑 |
状況 | 宝の持ち腐れ、価値観の相違 |
類語 | 豚に真珠、馬の耳に念仏 |
さて、ここまでご覧いただいた通り、お互いの価値観の違いによっても「猫に小判」という状況が生まれてしまいます。
むしろ、価値観が100%ピッタリの人はいないという意味では、「猫に小判」的な小さな意見の食い違いは日常に溢れていると言えるでしょう。
しかし、できることなら色々な人の価値観を柔軟に理解できるようになりたいものですよね。
ということで、この記事の最後に、皆さんが自分とは違う価値観を無理なく受け入れられる一冊をご紹介させて頂きます!
この本を読むことで、あなたもきっと、自然体のままで周囲の人と調和できるようになりますよ!
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