主にニュースやドラマ等で耳にすることの多い「一網打尽」という表現ですが、その正しい意味はご存じでしょうか?
実はこの四字熟語、似通った二つの意味があることで、意味を混同し正しく使えていない方が意外と多い、要注意の四字熟語なのです。
ということで今回は、例文や類語なども参考にしながら、詳しく&分かりやすく「一網打尽」の意味を解説いたします!
一網打尽の意味
それでは早速、「一網打尽」の意味を見ていきましょう。
冒頭でも述べたように、「一網打尽」には大きく分けて二つの意味があります。
まず、「一網打尽」の一つ目の意味とは、「ひと網で周辺の全ての魚・鳥獣などを捕らえること」という意味になります。
これはもう少し別の言葉で言えば、「一度網を仕掛けただけで、そのエリアに生息する獲物を全て捕獲しきる」とも言い換えられますね。
つまり、逆に言えば、何度かに分けて捕獲したり、あるいは一回目の仕掛けでは全てを捕獲しきれなかったような状況では「一網打尽」とは言えないということです。
したがって、「一網打尽」という表現を使う際の感情としては、「やったぜ!」や「どんなもんだ!」といった感じで、嬉しがったり誇らしげな気持ち、爽快感や達成感と共に用いることが多いですね。
また、この元々の意味から転じて、普段の生活などでは「犯人などをひとまとめに捕らえること」というニュアンスでも使われます。
なお、これをもう少し別の言葉で言えば、「犯罪者などを一挙に逮捕する」とも言い換えられるでしょう。
こちらの場合は、「犯罪者達を一網打尽にした」といった台詞をニュースや映画などでよく耳にするので、比較的イメージがしやすいですよね。
つまり、ここまでを踏まえて「一網打尽」の一つ目の意味をまとめれば、魚であれ犯罪者であれ、「複数のターゲットを一回のチャンスで全て捕獲しきる」という意味と言えるでしょう。
さて、それでは続いては「一網打尽」の二つ目の意味をみてみましょう。
「一網打尽」の持つ二つ目の意味とは、「問題ごとを一度で全て片付ける・排除する」という意味になります。
これはもう少し別の言葉で言えば、「不都合なものごとを一度に退治する・全滅させる」とも言い換えられますね。
つまり、なにかしらの問題や害があるものを、余すことなく根こそぎ消し去るような状況を指して「一網打尽」と表現できるということです。
なお、こちらの意味で「一網打尽」を使う際の全滅させる対象としては、主に害虫や雑草などが当てはまります。
したがって、その場合は「駆除する」というニュアンスを含むことが多いですね。
つまり、こちらの二つ目の意味の一つ目の意味との違いは、「捕獲するのではなく、全滅させる」という点が大きく異なるポイントになります。
要するに、なにかしらの目的を一度で達成するという点は一つ目と二つ目の意味の両方に共通しますが、その手段が「捕獲」なのか「退治」なのかが異なっている、と整理すると分かりやすいと思います。
なお、それぞれの意味において、「一網打尽」を実際の会話ではどのような言い回しで使うのが正しいのかは、具体的な例文をみると分かりやすいので、後程まとめて紹介させていただきますね。
さて、ということで、ここまでで「一網打尽」の意味がおおむね理解できた後は、続いてはこの言葉を完全にマスターするために、その語源を見てみましょう!
むしろ、この四字熟語はしっかりと語源を把握することで、より意味の理解が進むタイプの表現でもあります。
一網打尽の語源
さて、「一網打尽」という四字熟語には、どのような由来があるのでしょうか?
結論から言うと、中国の宋の歴史を記した『宋史』という書物にある、とある犯罪にまつわる逸話の中に、由来が存在します。
この逸話のメインの登場人物に、検察官である『王拱辰(おうきょうしん)』という人物が出てきます。
当時彼は、政府の高官一族による金銭不正流用を極秘調査し、その犯行現場をおさえて犯人達を一斉に逮捕しました。
そのときに王拱辰が叫んだ言葉が、「吾、一網打尽せり」という言葉でした。
そして、このときの彼の発言が「一網打尽」という故事成語として伝わり、現在のような意味合いで広く使われるようになったのです。
つまり、「一網打尽」のもともとの由来は、犯罪者を検挙する場面から生まれたということなんですね。
そして、恐らくこの四字熟語が日本に伝わったタイミングで「網」という漢字に引っ張られることで、網を使い魚を捕える漁師たちの間で「魚や動物を捕える」という意味合いでこの表現が多く使われるようになったのでしょう。
さて、ということで、語源を把握し「一網打尽」の意味が完璧に理解できたところで、続いてはこの表現がどういった時に使われるのか、例文を見ることで言葉の使い方をマスターさせましょう!
ここまでの説明を聞いた皆さんは、どのような例文が思いつきますか?
一網打尽の例文
「一網打尽」という表現は、下記例文のような形で使う事ができます。
- 例文1.床に落ちた飼い猫の抜け毛を、新しい掃除機で「一網打尽」にする。
- 例文2.今日は潮目が良かったこともあり、そのエリアの魚を「一網打尽」にできた。
- 例文3.世間を賑わせたテロ集団は、警察によって見事「一網打尽」となった。
- 例文4.軒下に巣をつくった厄介な害虫を、専門業者が「一網打尽」にしてくれた。
- 例文5.この除草剤を使えば、我が家の庭にはびこる雑草は「一網打尽」だ。
- 例文6.戦闘ゲームで敵を「一網打尽」にするのが、私のストレス発散法だ。
例文を見ると分かるように、例文1~3は「一網打尽」を「捕獲する」という意味で使っており、例文3~5は「全滅させる」という意味で使っていますね。
なお、「一網打尽に捕える」という表現は、間違った使い方なので注意が必要なポイントです。
というのも、「一網打尽」という言葉自体にすでに「捕らえる」という意味が含まれているので、「一網打尽に捕える」と表現すると、いわゆる「二重表現」になってしまうからです。
つまり、「頭痛が痛い」という表現が間違った使い方であるのと同じということですね。
したがって、正しくは例文のように「一網打尽にする」という形で使うようにしましょう。
さて、ということで、例文を見て具体的な使い方が分かったところで、続いては実際の会話例を通して、自分自身で「一網打尽」という言葉を使うイメージを養ってみましょう!
皆さんも、下記の会話例のパンダさんになりきり、〇〇の部分に入る言葉を考えてみてくださいね。
一網打尽の会話例
パンダさんの家に、友達のヒツジさんが遊びに来たシーンです。
アレ?なんか今日のパンダさん家、薬剤みたいな独特の匂いがしない?
それはね、午前中にバルサン焚いて忌々しい『G』を「一網打尽」にしたからだね。
え?『G』って何のこと?
そりゃ、『G』って言ったら〇〇のことだよ!
いかがでしょうか?〇〇にはどんな言葉が入りましたか?
この〇〇に入る言葉は、『ゴキブリ』ですね(笑)
ちなみに、実は「ゴキブリ」は「御器噛り(ごきかぶり)」という由来から名付けられたという豆知識を、これを機に知っておくと何処かで役立つかもしれません(笑)
さて、ということで、パンダさん達のやり取りを見て「一網打尽」という表現を実際に使うイメージがついたところで、続いてはその類語を知ることで、この言葉の輪郭をより鮮明にしていきましょう!
皆さんも、パッと思いつく類語がありませんか?
一網打尽の類語
「一網打尽」には、下記のような類語が存在します。
- 1.「一気呵成」(いっきかせい)
物事を一気に成し遂げること - 2.「一瀉千里」(いっしゃせんり)
ものごとが一気にはかどること - 3.「一斉摘発」(いっせいてきはつ)
犯罪組織などを一度に捜査してその罪を暴くこと - 4.「一斉検挙」(いっせいけんきょ)
「一斉摘発」の同義語
このように、類語と比べることで、「一網打尽」のニュアンスがよりシャープになり意味の理解が深まりますね。
さて、ここまで来たら「一網打尽」の完全制覇まであと一歩です!
極めつけとして「一網打尽」の「英語訳」も知る事で、この表現のキャラを完璧に掴んでしまいましょう!
皆さんも、自分が知っている英語で思い付く表現がありませんか?
一網打尽の英語訳
英語で「一網打尽」を表現するとしたら、下記のような例が適切でしょう。
round up
和訳:寄せ集める、一網打尽にする
ちなみに、アメリカには上記と同じ「ラウンドアップ」という名前の、有名な除草剤がありますね。
それでは、最後に「まとめ」でおさらいをし、この四字熟語を完全にマスターしましょう!
まとめ
いかがでしたか?「一網打尽」の意味はしっかり理解できたでしょうか?
最後に、ここまでの内容を簡単にまとめましょう。
【一網打尽】 | |
意味 | ①魚などを網で一気に捕獲する |
②問題ごとを一度に片付ける・全滅させる | |
感情 | 喜び・誇らしい気持ち・爽快感・達成感 |
由来 | 中国の書物『宋史』の一説 |
類語 | 一気呵成・一斉摘発など |
英語訳 | round up |
さて、ここまでご覧いただいた通り「一網打尽」とは、主に「捕獲」か「全滅」という手段により、目的を一度で達成したときに使える言葉でした。
これを機に例文や類語も知ったことで、この四字熟語を使う上での懸念点は「一網打尽」に出来たと思うので、みなさんも是非普段の日常の中でこの表現を使ってみてくだいね!(笑)
【こちらの人気記事もおすすめです!】
【副業・独立・起業に興味がある方へ!】
複業コンサルタントの当サイト運営者が、最新のおすすめ副業などのお得情報をLINEで無料配信中です!
詳しくはこちらのプロフィールをご覧ください!